筋収縮のエネルギーシステム

研修担当者
おはよう!二人とも元気かい?
おや?Aくんどうしたんだい?
あまり元気がないようだね。

研修生A
大丈夫です。
ちょっと身体がだるいだけですから。

研修担当者
どうしてだるいんだい?
また風邪でも引いたの?

研修生A
少しオーバー・ワークなのかもしれません。
日中はずっと働いて、夜はトレーニングをハードにやっているので、その疲労が溜まっているのかもしれません。

研修担当者
そうなんだ。
まぁAくんはフリーだし、しかも親元から離れて一人暮らしをしているから余計大変だよね。
生きていくためには働かないといけないのは分かるんだけど、あまりこん詰めるとそのうち倒れちゃうよ。

研修生A
はー...

研修担当者
今はトレーニングの運動強度や頻度を落とした方が良いんじゃないかな?

研修生A
そうですね...

研修担当者
うん、その方が良いと思うぞ。
仕事も急がしくて、その上にハードにトレーニングをしてるんだろ?それじゃ身体がだるくなって当たり前だよ。
Aくんね、防衛体力って聞いたことあるかい?

研修生A
はい、聞いたことはありますが。

研修担当者
まぁ、簡単にいうと身体を守ろうとする体力のことなんだけどその中の1つの中に免疫というのがあるんだ。
知ってると思うけど免疫っていうのはウイルス感染や細菌によって引き起こされる病気に対する抵抗力のことをいうんだ。
でね、その免疫というのは運動を適度にやっている人では高いんだ。
つまり、運動によって身体が丈夫になるってことだよね。
でもその運動量が多すぎるとかえって免疫の能力は低下しちゃうんだよ。

研修生A
そうなんですか?

研修担当者
そうだよ。
だから今のような状態がずっと続くと上気道感染症(風邪や気管支炎)にかかりやすくなってしまうから、くれぐれも無理をしないようにね。
前もいったけどインストラクターは身体が資本だからね。
自分自身の身体の管理ができないと、人を指導することなんかできないからね。

研修生A
そうですね。
気をつけます。
ありがとうございます。

研修担当者
よし、じゃあ研修を始めるぞ。
今日は運動生理学の中でも中心的なテーマといえる筋収縮のエネルギーシステムについて話を進めていくからね。
その前にエアロビクスについてほんの少しだけ話をしよう。
エアロビクスというとダンスをしているというイメージがあると思うけどあれはエアロビクスの1つの形なんだ。
一般にみんなが思い浮かべるエアロビクスの正式名称はエアロビック・ダンス・エクササイズだからね。
インストラクターとしてその本来の意味を知らないことは恥ずべきことだから、ここはしっかり押さえておいてくれ。
エアロビクスは有酸素運動のことだからね。
じゃあこれを踏まえて筋収縮のエネルギー発生のメカニズムについて説明していくぞ。
解んないところがあったらすぐ質問してくれ、いいね?

研修生A
はい!

研修生B
はい!

研修担当者
筋収縮を産み出すエネルギー源は筋肉に蓄えられているアデノシン三燐酸(ATP)という高エネルギー化合物の分解によって得られるんだ。
このアデノシン三燐酸はアデノシンと呼ばれる大きな複雑な分子と燐酸基と呼ばれる三個の単純な要素からなっていて、そのうち後にある二つの燐酸基は高エネルギー結合をしている。
すなわち、それらは高水準の潜在的科学エネルギーを蓄えているんだ。
この末端の燐酸結合が壊されるときに非常に高いエネルギーが放出され、それによって筋収縮ができるんだよ。
筋収縮を始めとする全ての生物学的な仕事はアデノシン三燐酸(ATP)が燐酸(P)を1つ切り離しアデノシンニ燐酸(ADP)と燐酸(P)になったときに行うことができるんだ。
でもね筋肉内のアデノシン三燐酸(ATP)は2秒程度で消費されてしまうので運動を持続させるためにはアデノシン三燐酸(ATP)が常に再合成され続けなければならないんだ。
その再合成に関わる反応は3つ、ATP-CP過程、乳酸過程、有酸素過程だ。
Aくん、B子ちゃんここまでは理解できているかい?

研修生B
はい、大丈夫です。

研修生A
あっ、僕も今のところ大丈夫です。

研修担当者
よし、それじゃ話しを続けるぞ。
じゃあATPーCP過程から解説するぞ。
CPはクレアチン燐酸のことでアデノシン三燐酸(ATP)と深く関係した高エネルギー化合物なんだ。
このクレアチン燐酸(CP)もアデノシン三燐酸(ATP)と同じく筋肉内に蓄えられているからね。
そしてそれがクレアチン(C)と燐酸(P)に分解される時にエネルギーが多量に放出される。この時放出されたエネルギーは分解されたATP(つまりADPとPのこと)を再合成するときに利用されるんだ。
これをATP-CP過程っていうんだ。
ただし、この過程は全力運動の場合、7.7秒くらいでエネルギーが枯渇してしまうので、極めて短時間の運動しかできないんだ。
さらに高強度の運動を持続させるためにはもう1つの過程、乳酸過程を使わなければならない。
筋肉、肝臓内のグリコーゲン(糖質)が部分的に分解されるときにATPを再合成させるための高エネルギーが発生するんだ。このエネルギーを利用してATPを再合成させることができるんだ。
この過程を乳酸過程っていうからね。

研修生A
えっ、でも何で乳酸過程っていうんですか?

研修担当者

おっ、なかなか良い質問だ。
この過程ではグリコーゲン(糖質)は、酸素が介在しないから乳酸と呼ばれる疲労物質に還元されてしまうんだ。
だから乳酸過程って呼ばれているだよ。
しかしだ、この疲労物質である乳酸は人体内での蓄積能力には限界がある。
中距離走のような運動でこの反応を全力でやったとすると約33秒がその限界時間となる。
さっきやったATP-CP過程と乳酸過程を総称して無酸素過程と呼び、このときの運動を無酸素運動(アネロビック・エクササイズまたはアネロビクス)と呼ぶんだ。
この無酸素過程でのエネルギー供給時間(運動の持続時間)は7.7秒+33秒で約41秒だ。
じゃあAくん無酸素運動の代表的なエクササイズを1つあげてくれる?

研修生A
ウエイト・トレーニングや短距離走なんかがそうです。

研修担当者
OK!!正解だね。
ウエイト・トレーニングは無酸素運動の代表的なエクササイズだね。
一般に無酸素運動を行うことによって、筋肉を肥大させたり、筋力を向上させたりすることができるんだね。
よし、次は有酸素過程だ。
呼吸運動によって酸素が体内に取り入れられるとグリコーゲンや脂質(場合によってはタンパク質)は乳酸を発生することなく完全に二酸化炭素と水に分解されてしまうんだ。
この過程で生成されるエネルギーを利用してアデノシン三燐酸(ATP)を再合成することから有酸素過程と呼び、このときの運動を有酸素運動(エアロビック・エクササイズまたはエアロビクス)と呼ぶぞ。
このエネルギーは無酸素過程で生じるATP再合成エネルギーに比べると多いので長時間の運動もできるからね。
B子ちゃん有酸素運動の代表的なエクササイズを1つあげてくれる?

研修生B
エアロビック・ダンス・エクササイズです。

研修担当者
そう、そのとおり!
さっき教えたことが理解できているようだね。
この有酸素運動を行うことによって全身持久力(スタミナ)を向上させることができるんだ。
よし、ここまで言ってきたことを解りやすい図にまとめておくから全部暗記しておいてくれ!(図1参照)
そう、そのとおり!さっき教えたことが理解できているようだね。この有酸素運動を行うことによって全身持久力(スタミナ)を向上させることができるんだ。
よし、ここまで言ってきたことを解りやすい図にまとめておくから全部暗記しておいてくれ!(図1参照)

image050 (図1)エネルギー発生のシステム

研修生A
はい!

研修生B
はい!

研修担当者
Aくんね。
水泳は有酸素運動だと思う?それとも無酸素運動だと思う?

研修生A
えっ?有酸素運動ですよね?

研修担当者
うん、まぁ一応そうなんだけど、水泳が有酸素運動なのか無酸素運動なのかというのは個人差があるんだ。
Aくんは泳げるのかい?

研修生A
泳ぐのはあまり得意じゃないんです。
25M泳げるかどうか....

研修担当者
そっか。
じゃあB子ちゃんは?

研修生B
私は泳ごうと思えばずっと泳いでいることができます。

研修生A
あっ、あっ、わかりました。
水泳が有酸素運動になるか無酸素運動になるかというのは技術的な問題が関係してくるんですね!
25M泳げるかどうか....

研修担当者
そう、大正解!
水泳は一応、有酸素運動とカテゴリー分けされているけど、有酸素運動になるかどうかというのは個人差によるところが大きいんだ。
だからB子ちゃんにとって水泳というのは有酸素運動だけどAくんにとっては無酸素運動ってことになるんだ。
ここんとはしっかり理解しておいてくれ。

a
筋収縮を産み出す直接のエネルギー源は何か?
①AMP
②ADP
③ATP
④CP

③ATP

ATPは(      )と3つの(     )の要素からなる高エネルギー化合物である。

アデノシン、燐酸

無酸素運動に伴って、血中濃度があがるのは下記のどれか?
①塩酸
②尿酸
③乳酸
④硝酸

③乳酸

無酸素過程のエネルギー供給時間はATP-CP過程の(    )秒、乳酸過程の(    )秒で合計約(      )である。

7.7秒、33秒、40秒

筋が最も早く消費することができるエネルギー源は次のどれか?
①中性脂肪
②筋タンパク
③乳酸
④筋グリコーゲン

④筋グリコーゲン

無酸素運動を実施することで得られる運動効果は何か?
①スタミナ向上
②敏捷性
③筋肥大
④柔軟性向上

③筋肥大

エアロビック・エクササイズのエネルギー源とならないものはどれか?
①グリコーゲン
②アデノシン三燐酸
③タンパク質
④HDLコレステロール

④HDLコレステロール

有酸素過程においてグリコーゲンは最終的に(        )と(     )に分解される。

二酸化炭素(CO)、水(HO)

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当サイトの編集長の
佐藤伸一(さとうしんいち)です。
フィットネスクラブ、体育施設、大学などでトレーナーとして18年間活動してましたが、約10年前にカイロプラクターとして第二の人生を歩み出しました。
そして2016年4月に第三の人生を歩み出しました。
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